「格言」― 事件、事故、災害は偶然の産物ではない。何らかの連鎖的な出来事の結果である。―
日航123便墜落事件も、同じくその原因を把握し、全体象を明らかにするのは 非常に困難な作業である。
更に、殺人事件では 加害者は当然、沈黙し隠蔽を図るので、どのように推論するのか、捜索、調査するのか これは重大
な課題であるが 意外に知られていない。然し原因を調査し究明するに適した技術的な論理的な推論手法があるのである。
1 この推論の手法として「演繹法」「帰納法」がある。
これは、人間の思考は,細分化すると帰納と演繹で説明することが出来るからである。
「演繹法」とは 一般的原理から、特殊な原理や事実を推論することで一般論やルールに観察事項を加えて、必然的な結論を
導く思考方法のことで、「***だから、〇〇である」であるという論理を数珠つなぎにしていき、結論を引き出す方法であ
り、三段論法とも言われる。
「風吹けば 桶屋が儲かる」との例え話が知られているが、これは三段論法とは言えない。それは事実関係の連鎖ではない
からである。即ち事実、ルール(大前提)から、結論を導き出す思考の経路である。
この推論手法は 一般的に科学的、技術的な研究、開発に使われるものである。
「帰納法」とは 具体的な事実から、一般原理を導き出す論理学の方法で多くの観察事項(事実、証拠)から類似点を纏め上げ
ることで、結論を引き出す論法である。
この手法は 殺人事件や旅客機墜落事故などの調査に使われる。
殺人事件の捜査では刑事らが事件の現場での目撃証言、現物調査、被害者と家族、友人、関係者の調査などに走り回る。
警察の捜査は「帰納法」によって行われて、原因、加害者を特定する。
日航123便墜落事故などの調査も 全く同じ推論手法:「帰納法」を使うのが 原則なのである。
2 日航123便墜落事故での事故調査委員会の使った推論手法
旅客機の墜落事故の調査では、「観察事項(事実)を積み重ねて結論を出す帰納法」を使うことが 当然なことにも拘わらず、事故調は 多くの目撃証言、生存者証言など真実の情報を無視して仮定の事態を三段論法で組み立てて、嘘の、疑惑の、矛盾の事故結論をデッチ上げるのである。何故 事故調査での基本的な手法「帰納法」を使わなかったのか。
それは 掛かる「帰納法」で事故調査すれば、自衛隊の標的機が日航機に衝突し、これを完全に隠蔽するためにミサイルで撃墜したことが簡単に自然に帰結出来るからである。
この真実、真相を航空局、事故調が知っていたので、本来使っては行けない「演繹法」で且つ三段論法を悪用して事故の真実を歪曲し誤魔化したのである。
2.1 事故調査委員会が使った証拠、事実関連事象
事故原因の推論のために、旅客機には ボイスレコーダー(CVR)とフライトレコーダー(DFDR)が設置されている。
事故調査では、このCVR,とDFDRに加えて、機体残骸、そして多くの目撃証言、生存者証言、関係者証言、機体修理記録などを調査し、事故原因を探る。然し、日航機事故の事故調査では CVR,とDFDRと残骸の三点しか調査していない。
事故報告書の内容は 将に片手落ちの調査であって、日航の事故調査担当も「事故調はこのCVR,DFDR,残骸の三点しか調査していない」ことを認めている。驚くべき意図的な手抜きであり、これで真実を明確にすることは 不可能なのである。
結局、事故調の結論は 簡単に否定され、三者「ボーイング社」「日航」「航空局」は告訴されたが、前橋地検の不起訴
判断で無罪となった。
事故原因を追究する際には、「三現主義」が鉄則であり、基本中の基本である。
「三現主義」とは、「現場で、現物を観察し、現実的に検討し調査すること」である。
この原則が 事故原因を推論する手法での「帰納法」に集約され、有効な手法になるのである。この「三現主義」でこの日航123便の場合に当て嵌めると、「現場(即ち、飛行ルートの地上及び墜落地点)において、直接的関係者、及び関節的関係者(目撃者)が現物(墜落直前の機体、及び墜落直後の機体)についての情報を全て集約し、予断なく総合的に検討すること」である。
掛かる観点から言えば、CVR,DFDR,残骸などのデータは、「三現主義」により得た事実を補強するものである。
即ち、目撃証言、生存者証言、関係者証言などが事故調査の上で 尤も重要であることが分かるのである。米国のNTSBの調査では 調査員の半数を目撃証言、生存者証言、関係者証言の聴取に走り回るのである。日本のCVR,DFDRのみの調査、結論を先に決めての推論法と比較すると、日本の事故調の調査手法の杜撰さでの「真相、真実解明が出来ない」ことは明白なのである。
更に掛かる「帰納法」による事故原因を検討・推定するにあったては、先ず、予想される原因を仮説設定する。
知り得た情報を全て この仮説に適用し、もし一つでも説明出来ないものがあれば、その仮説は棄却する。
これを繰り返して、真の事故原因に到達するのである。これが常道である。
2.2 事故調査委員会の結論を推論手法からの分析
事故報告書の要点は
- 修理ミスの隔壁部が時間的に劣化し、急に破裂して垂直尾翼を破壊した
- 油圧破壊で方向舵、昇降舵による操縦不能、
- 殆どの操縦機能が失われ、機長の意図通りの飛行させるのは困難安全に着陸させることは 不可能であった
である。
注)この「意図通りの飛行」との文言は 事実を調査し認定する場合には使えないし、掛かる精神的、抽象的な文言は
不適切であることは明らかなのである。
この事故調の推論は
B社の修理ミス ⇒劣化、亀裂成長 ⇒ 修理ミスの隔壁破壊 ⇒機内空気流出
(仮定)
⇒垂直尾翼、油圧装置破壊脱落⇒ 操縦が困難 ⇒意図通りの飛行不可能⇒
(仮定) (仮定) (仮定,想像)
着陸が不可能 ⇒墜落
(仮定)
となる。演繹法での推論であるが 事実関連は 殆ど「想像」「仮定」なのである。
@垂直尾翼の残骸回収して復元せずにその破壊原因を「隔壁が破壊した」と推測して決めつけるのは、事故調査では許されない。
これだけでも 事故調の推論と結論は成立しないのである。その上、実際に起きた事象、証拠、目撃証言、生存者証言、DFDR データを 調査分析せず、又は無視し、且つ都合の良いところだけを採用しての結論では事実と異なる結論になることは必定である。
垂直尾翼が機内空気流で吹き飛ぶなど、科学的に技術的に有り得ないのであり、世界のボーイング社がそんな杜撰な設計を行う筈はない。B-747旅客機は 軍に納入する貨物機でもあり、厳しい規格のある軍への納入は不可能なのである。
この論法は 完全な「演繹法」的な三段論法での推論の結論である。更に実際に起きた日航123便の操縦性、飛行性についての調査、解析は一切ないのである。そして「着陸が不可能」との結論は論理的に矛盾なのであり、成立しない。
更に 事故調査の目的は「墜落の事故原因を究明する」ことだが、事故調の報告書には墜落の事故原因は書かれていない。
これこそ、事故調の結論は 意図的な真実を隠蔽した産物であり、報告書として資格がないことは 明白である。
事故機が 御巣鷹の尾根に墜落して 520名が死亡し、4名が奇跡的に救助された悲惨な事故での事態、事象の推論は「演繹法」的に推論して真実を導き出すことは 不可能なのである。即ち、採用しては行けない手法で、禁断の手段なのである。